『「星座」になった人―芥川龍之介次男・多加志の青春』

 天満ふさこ 『「星座」になった人―芥川龍之介次男・多加志の青春』(新潮社) を読みました。 

 芥川龍之介。知らない人はいないほどの有名な作家です。
彼には3人の息子がいました。
長男・比呂志(ひろし)は、俳優であり演出家。三男・也寸志(やすし)は、作曲家・指揮者として名をはせていました。
 しかし、次男・多加志(たかし)に関しては、22歳の若さで戦死した、としかわかっていませんでした。
この本は、そんな多加志について書かれた評伝です。

 著者は、ひょんなことから多加志に興味を覚え、調べてみようと思い立ちます。
が、膨大な情報の海であるインターネットでさえも多加志の情報はありません。
それがかえって著者の興味をそそったのでしょう。
 著者は、多加志が関わったとされる同人誌「星座」を探しはじめます。
その同人誌には、多加志の詩や翻訳、そして唯一残した小説「四人」が掲載されています。
けれど「星座」はなかなか見つかりません。それもそのはず、「星座」は一般の販売ルートには乗らない、仲間うちで回覧される手作り雑誌だったのです。

 時には調査に行き詰まりながらも、著者は「星座」を、そして「四人」を見つけることに成功します。小説「四人」は、この本の巻末に収録されています。
今まで情報が少なかった多加志の人となりが、多少なりともわかる本です。

 最後に少々。
私は評伝をあまり読んだことはないのですが、著者は、今までこういった調査のたぐいをしたことがなかったのではないかな、とひっかかる部分もありました。
著者は、本の中で、芥川家の人々はもちろん、多加志の同級生たちに、多加志の情報を教えてほしい旨の手紙を送っています。多加志に関する情報があまりにも少なかったせいもあるかもしれませんが、つてを頼りすぎている印象をうけました。
論文とは違うんだから、いいのかな。

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